2014年2月9日日曜日

上積みと悪癖 ~トップリーグ・プレーオフ準決勝 サントリー対神戸製鋼戦より~

ばたばたし過ぎて、すっかり載せるのを忘れておりました。
プレーオフ決勝&日本選手権への予習としてご一読して頂ければ、幸いです。

===============

【試合雑感】○サントリー27-19神戸製鋼● 


スクラムは終始サントリーペースだった

試合は二転三転し、なかなか面白い展開だった。
サントリーとしては、ニコラスがシンビンの厳しい時間帯でトライを奪えたのが、この試合の勝敗の分かれ目か。
粘り強いディフェンスで神戸の得点を最小限度に押さえられたのは大きい。
とは言え、パナソニックとの差も埋まりきっていない感がある。
この日は小澤の活躍が印象的だったが、去年の西川&村田ほどのインパクトは無い。
日和佐、ピシの2枚交代も、段々相手に読まれてきている感がある。
このマンネリ感を打ち破れない限り、リベンジの夢は厳しいというのが現時点での見方だ。



この試合の「個」という部分においては、神戸製鋼・正面健司の復権ということになる。
1トライ、1アシストという結果はもちろん、ボールを持った時の「ワクワク感」はなかなかのものだった。
自らが動く事によって、ボールと人も動く。
ようやく最適なポジションを見つけた感もある。
日本選手権での活躍も大いに期待できるだろう。




…と、ここまでならば「ある程度上積みができた神戸製鋼の今後に期待」となるのだが、ラストプレーでそんな思いも曇ってしまった。
サントリー3点リードの後半39分、神戸がペナルティを犯し、サントリーはPGを得る。
神戸にとってはほぼ「終戦」を意味するシチュエーションである。

ところが次の瞬間、驚いた事に、容易な位置から蹴られたキックはポストから大きく逸れたのだ。
WTBの大橋がボールをキャッチし、神戸の反撃開始。
ゴールライン付近までゲインが行われたあと、2フェーズ目のパスが放り込まれたのだが…


ボールはプレーヤーに届かずインゴールを転々とし、サントリーの石原が抑えてトライとなった。


…そんなキックの前、多くの選手がうつむく中、1人だけしきりにゴールポストを指さす男がいた。
途中交代のブラッキーだった。



「ボールがポストに当たるかもしれないし、ゴールから外れるかもしれないし…」という語りかけているように見えた。
勝利に対して貪欲で、非常にたくましく、賞賛に値する行動だった。
だがしかし、試合を本当の意味で決定づける、失トライに繋がる「あのパス」を放ったのもブラッキーだった…。


勝利に最も飢えていた人間が、勝利と最もかけ離れたポジションに置かれてしまう。
そんな不条理に、何とも言えない歯痒さだけが残った

0 件のコメント:

コメントを投稿