2014年5月22日木曜日

「あるべき姿」へのプロセス ~第9回ヴィクトリアマイル 個人的雑感~


人生において、誰しも「スランプ」という魔の手にやられたことはあるだろう。
そして「あるべき姿とは何か!?」という罠にはまってしまう。
簡単に手に入るように思えた「あるべき姿」は、何が原因で失ってしまったのか?
どうすれば取り戻すことが出来るのだろうか?



「昔、そのレースで勝った馬は、直近の成績に関わらずそのレースで「激走」する可能性がある」

競馬を勉強していると、そんな格言を覚えるようになる。
そしてヴィクトリアマイルは、そんな格言をはっきりとした事実として示してくれるレースになりつつある。
短い歴史ではあるが、「復活」が一つの傾向になりつつある。

そんな訳で、話の焦点を「見事復活を果たした」勝ち馬、ヴィルシーナに当てたいと思う。





今回の勝因を挙げるのであれば、まず「手慣れた内田博幸に手綱を戻したこと」になるだろう。
久々にコンビを組んだ内田は馬の気持ちを重んじ、思い切った先行策を図る。
そして、トップを譲らずに逃げ切ることに成功した。
この日は人馬一体という名に相応しい好騎乗を見せた。
馬はもちろん、内田騎手自身もスランプ脱出ともいえる快心の勝利。
ある意味昨年の優勝よりも力強く、印象に残る走りっぷりである。

普段とは違う臨戦過程でこのレースに挑んだことも、注目したいポイントだ。
ヴィルシーナはこれまで、ステップレースで牡馬との混合重賞を選び、本番の牝馬重賞に挑むというスタイルを取っていた。
ライバルだったジェンティルドンナと同じ道を歩むが如くだ。
が、両者とも上手くいかず、逆に2桁着順が続く悪循環に陥ってしまった。
そんな年明けに選んだのが阪神牝馬ステークス。
距離はこれまでで最も短い1,400m。
結果は散々だったが、早い展開に体を慣らしたことで闘争心が生まれた…と新聞記事には書いてあった。
普段とは異なる環境に身を置かされたことで、自分の立ち位置に気が付き、同時に緊張感も出てきたのだろうか。
…馬自身にも聞いてみたいところである。





簡単にレースを総括すると、ヴィルシーナは「あるべき姿」のために「慣れ親しんだ道」と「新しい道」をそれぞれ突き進んでいったことがわかる。
ついつい我々は「慣れ親しんだ道」か「新しい道」かの二者択一になりちだが、冷静に取捨選択してバランスよく歩むことが重要なのかもしれない。

ヴィルシーナ(内田博幸も含め)がこのレースで「あの頃」を取り戻したプロセスは、非常に勉強になるものだった。
随分と時間は掛かったし、次のレースがどうなるかわからない競馬という世界ではある。
だが、この1年で得た試行錯誤と栄光は、彼女とそれを取り巻く人々にとって大きな財産になるに違いない

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