さて、コースの形態には「最後の直線に坂が有るか無いか」という要素も重要である。一般的に、坂が有ると先行勢は疲弊するため不利であり、脚を溜めてきた後方勢は有利と言われている。
府中市の東京競馬場には、高低差約2メートルの坂がある。その坂は500メートルもの長い直線コースと相まって、「なだらかな」坂になっている。故に、その坂を活かした「素敵な風景」がある。是非とも東京競馬場に来たらゴール前、あるいはその向こうの緩やかな第1コーナー付近から、直線の向こう側を眺めて欲しい。どこまでも広がる芝生にときめくのではないだろうか。でも、楽しみはそれだけではない。
レースが始まる。スタンドもレースと呼応するように、次第に騒がしくなる。実況を聞いていると第4コーナーを回ったというが、まだ何も姿は見えない。
暫くすると、どうしたことだろうか! 馬たちの姿がぼんやりと浮かび上がってきたではないか。そう、なだらかな坂の頂上が「地平線」の役割を果たしており、幻想的なかたちで馬たちを登場させていたのだ。ようやく仕組みが理解できたと思っていたら、レースを終えた馬たちがあっという間にすぐ横を通り過ぎていった。
競馬場が生み出す自然はあくまでも人工的なものであり、大自然が生み出すモノとはスケールが違い過ぎる。でも、グリーンの地平線と競走馬が生み出す刹那的な風景は、何度見ても心奪われるものがあるのも事実だ。
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