2013年5月31日金曜日

「楽しいラグビー」のつくりかた ~第1話 パシフィックネーションズカップ 日本代表対トンガ代表戦について~

本来であれば何かイベントでも仕掛けて、我が庭である三ツ沢を盛り上げたかったのだが…残念ながら、仕事に忙殺されてしまい、いつも通りのまったり観戦になってしまった。



ゴール裏はサッカー観戦でお馴染みだが、ラグビーだとまた違う景色が見える。
果たして新しいジャパンが見せるラグビーも、新鮮な景色に見えるのか?
残念ながら、その様なポジティブな印象を抱く事が出来なかった。


変わらなかった課題


昨年の日本代表を見て感じたのが、「組織的防御」が出来ていないという事であった。
個々のタックルが甘いのは勿論、バックスが前目に出てしまうが故に、その裏を突かれてトライ…というのも多々あった。
以前ならばニコラスの激しいディフェンスでカバーできる部分もあったが、今回は選出されず。
そうなってしまうと、結果は自ずと見えてくる。

ゴール裏からラグビーを見ると、如何に日本代表の背後に大きなスペースがあるかがありありと解ってしまう。
特にトンガが狙っていたのが、両WTBの背後だった。
トンガのWTB、バイニコロやヘルがラインぎりぎりの深い位置に立つ。
日本代表がブレイクダウンで苦戦し、近場に人が集まると、次第に遠い位置のスペースは広くなる。
ボールを丁寧に展開していけば、数的有利の完成である。


日本代表のWTBには20歳のホープ、藤田が先発出場していた。
しかし、前半は守備に追われ、持ち味の攻撃的なランニングはなかなか出来なかった。
1対2の状況を何度もつくられ、どの選手をマークすれば良いのかわからず、視線が泳いだまま背走する姿は歯痒いの一言に尽きる。

エディジャパンが攻撃の戦術に力を入れているという事は、色々なメディアを通してよく理解している。
なのに、なぜディフェンスの戦術はここまで未整備なのか?
次の相手はフィジー。
トンガよりもスペースを狙う攻撃を得意とするだけに、不安は増すばかりである。


敢えて言えば、気持ちも大事


三ツ沢はサッカーの方がお世話になっているだけに、ついつい不甲斐ない試合に便乗し、サッカーらしくあるモノを飛ばしてやろうと思ったが…まあ、そこはラグビーらしい振る舞いに務める事にした。
ゴール裏に選手がやってきたので、大きな声で彼の名前をコールすることにした。
それはジャパンでは無く、トンガ代表主将のニリ・ラトゥ選手に対してではあるのだが。


トンガ代表のパフォーマンスもあまり良く無く、反則の多さでシンビンも出た。
それでもギリギリで耐えきり、かつ整った攻守を見せる事が出来たのは、ラトゥのキャプテンシーと獅子奮迅の活躍があったからだと思う。


MOMを受賞し、記念の皿を持って帰るラトゥ


この日のラトゥからは「気持ちの籠ったプレー」というのが容易に伝わってきた。
ブレイクダウンやディフェンスでの激しさ。
その一方でスペースにキックパスを送る細かな技術。
「気持ちと頭脳」の両者が上手く混ざりあう80分間だった。

日本のラグビー界も以前より「頭を使ってプレー」をする事が求められてきている。
フィジカルでは世界の一流に劣るが故に、やはりそれとは別の概念を鍛えて、伸ばす必要がある。
この流れには大いに賛同したい。

とは言うものの、「声援を送りたくなる」のは、頭よりも「気持ちの部分で負けない」プレーである事に気がつかされてしまった。
綺麗で秀才なラグビーがもてはやされる今だからこそ、泥臭い「気持ち」を前面に出すプレーも等しく評価していこうと思っている

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