試合前の石見智翠館。気合十分で挑んだのだが…
今大会の予選プール最終日において、最も注目を集めたカードではないだろうか。
花園でもお馴染みの名門スポーツ高校と、ここ数年でめきめきと実力を全国レベルへと上げてきた地方の有力高校。
結果次第では、高校ラグビー界の勢力図を塗り変えるのでは・・・
そんな予感を察してか、Cグラウンドの空気もどこか引き締まっているように思えた。
序盤からペースを掴んだのは大阪桐蔭。
接点で圧力をかけボールを奪い、BKの好ランナーを走らせ相手の守備陣を翻弄。
特に光ったのがSHの杉山だった。前半だけで3本のトライを奪うだけでなく、ブレイクダウンではしっかりとFWをコントロールするクレバーさも光った。
対する石見智翠館の選手たちはボールロストが目立つ。少々パニックになっている感もあった。
19ー0と事前の予想を裏切る差で前半を折り返した。
石見智翠館は後半、選手交代を行い何とか点差を縮めようと試みる。
しかし、後半8分に大阪桐蔭FBの川端がだめ押しのトライ。そして、ここからはSO藤高のキックショーが始まった。
後半18分にDGを決める。まさかこの点差、この場面でDGを選択するとは思ってもいなかった。面白い判断である一方、守備に疲弊していた石見智翠館側にとって、この3点は集中力を奪うには充分過ぎた。
後半20分過ぎからは石見智翠館FWの規律が無くなり、ペナルティを連発。良い位置に辿り着いたら、大阪桐蔭は迷わずPGを選択した。
「一方的な展開」と「ジリジリ引き離されるPG」。アンビバレンスな大阪桐蔭のゲームプランなのだが、それが石見智翠館にとっては大きなダメージになってしまった。
終わってみれば40ー7。大阪桐蔭の横綱相撲だった。
この日最も印象に残った「個の力」は、間違いなく杉山・藤高のハーフ団であろう。
FWをコントロールし、かつ自分でも勝負できるSH。冷静なキックとゲームメイクで得点をアシストするSO。
個性的かつ、今が成長真っ盛りの二人と言えるだろう。彼らに引っ張られるように、大阪桐蔭は更なる強さを得ていくのではないだろうか。
一方、石見智翠館にとってはショックが大きい敗戦になってしまった。持ち味を出せぬまま、相手に気圧され続けた60分だった。
次第に熊谷のラグビー場にも、いつもと同じ穏やかな時間が取り戻されていった。そこで項垂れる石見智翠館のプレーヤーたち。
春のレッスンは「桜散る」といったところか。しかし、寒風吹き荒れる花園で復権するための時間も、まだまだたくさん残されている
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