本業のゴタゴタで何故か土曜日が急きょ休みになってしまい途方に暮れたのですが、「でも同盟のセミナーに行けるじゃない!」という事で行ってきました。
バタバタした感じで申し込んだため予習を殆どしないままでしたが、簡単に感想を記せば「刺激的な内容」かつ「刺激的な場」でした。
今回のセミナーでテーマになったのは「インディーズ作家が世界で戦うことの可能性」についてです。第一部はNYで活躍する文芸エージェントの大原ケイ氏の講演、第二部は映画監督のヤン氏、株式会社ボイジャー社長・鎌田氏(僕の書籍は全部ロマンサーです! というアピール)と、編集者の西野氏(群雛でお世話になっております)のトークセッションでした。
なでしこが勢ぞろいであります!(と流行りの言葉を無理やりねじ込んでみる)
……さて、セミナーのタイトルや案内から察するに、「今回は日米(あるいは日本と世界)比較論が中心かな?」と思っていました。確かに事例説明で比較をする場面もあったのですが、むしろ「個人の作家や日本の出版界はどういう心構えを持つべきか」という要素が非常に強かったと思います。
ですので、私はその「心構え」について幾つか印象に残ったフレーズを提示していこうと思います。それは「プロ」「自信」「自立」の3つです。
①日本の出版界は「プロ」が足りない?
大原氏の講演では米国出版界の仕組みについての説明がありましたが、その中で重要なフレーズとして挙げられていたのは「米国出版界は著者が本を書いて生活できる仕組みである」というものです。
作家、作家や作品を発掘するエージェント、編集者の3者を中心に、徹底した分業制とチーム制で本を生み出す。編集者が「なんでも屋」になりがちな日本と比較すると、1冊の本に多くの人が役割を担い、労力をかけている事がわかります。つまり、食べさせていかなければならない人が多いからこそ、「プロ」の意識が芽生えているのです。
実売印税などシビアな結果/現状を作家に伝える一方、良い作品を生み出せそうな人間にはお金を「前払い」し、生活と執筆のモチベーションを支える。場当たり的ではなく、戦略的かつメリハリの利いた手法だと思いました。日本でも広がって欲しい手法だと思うのですが……。
②インディーズ作家には「自信」が必要!
発掘され、プロの作家として巣立つ人間がいる一方、なかなか表に出られない作家がいるのは万国共通。米国でもエージェントの網から漏れたインディーズ作家が台頭し、一つのムーブメントになっています。
そんな海外事情の説明やトークセッション中の大原氏、ヤン氏の発言を聞いていると、「インディーズ作家に必要なのは『自信』なのでは?」と思うようになりました。
なぜ海外のインディーズ作家は自信に満ちていて、日本のインディーズ作家はシャイなのか? 実を言うとこれは「文化的差異」という曖昧な概念に行きついてしまい、説明しにくい部分でもあります。しかし、本当に勿体ないのは「他と比較して自分の方が優れていても、表に出せないあまり選んでもらえない」という事です。かつ、それが国際的な視点に立つと、「世界で売れない日本のインディーズ作家」になってしまいかねないのです。
トークセッション中に出た表現を借りれば、「作家業は人に自分のパンツを見せるのと一緒」な訳です。その本分が万国共通であり、躊躇はそれに反する概念だと言えます。
では、どうやって自分を思いっきりさらけ出すべきか。方法論は色々と思いつきますが、私はまず本にサインを求められたら堂々と書くことから始めようと思います?笑
③インディーズ作家の「自立」と「相互依存」を支える組織作り
トークセッションの最後は「日本独立作家同盟の今後」についても触れられていたのですが、ヤン氏の「しなやかで他者を尊重する」という独立の定義は非常に腑に落ちるものでした。
私はこの言葉は「独立」ではなく「自立」という概念に近いとも感じました。(鎌田氏もこの言葉を使っていましたね)
他者や取り巻きに影響を受け過ぎず、自分のしたいこと/すべきことをとことんする。インディーズ作家じゃなくても、何だかカッコいい生き方! と感じますね。
そして自立した作家たちが集い、お互いに好影響を与えながらプロやより大きな組織に対峙する。助け合いながら繋がり合う「相互依存」の関係が、日本独立作家同盟の目指す方向性と言うのもおぼろげながら見えてきました。
個を育て、個が支え合う仕組みを形成し、どう維持していくのか。他の作家の作品を読む、感想を記すのも仕組みの一つだと思います。同盟的には月刊群雛というオンラインの活動はもちろん、今回のセミナーや懇親会のようなオフラインにて接点も増やして頂ければワクワクしますね!
以上がセミナーの感想です。また、懇親会では群雛関係者の皆様を中心に、色々とお話出来て楽しかったです。(誰が誰だかわからない中、エスコートして下さった鷹野編集長と竹元さんには感謝感謝です…)
同盟会員、あるいは関係者ならば是非ともセミナーには一度顔を出してみては如何でしょうか? 私も(超個人的には金曜夜とか日曜開催を増やしてくれと記しつつ)機会があればテーマに拘らず参加したいです!
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