2015年7月17日金曜日

新国立競技場の混乱劇に関するいちラグビーファンのボヤキ



新国立競技場を巡る問題はひとまず、ラグビーW杯の新国立開催の断念かつ全計画の見直しという2本立てでひとまず終息に向かう運びとなった。
今回の問題では五輪組織委を中心とする各関係者の「リーダーシップ不在」が問題となっており、私も「五輪組織委に小泉純一郎がみたいな人間が居れば…」とぼんやり思っていたものだ。そして本日、首相のリーダーシップで何とか救われたところである。

今回の件では森喜朗氏への風あたりが非常に強かった。確かに、ラグビーW杯開催に拘りすぎた点が問題をこじらせてしまったし、解決に向けた方向性やメッセージを発揮出来なかったのは明らかだ。(寝技は得意だがメッセージ力の弱い森氏にとっては苦手なシチュエーションになってしまった感はある)

とは言え、森氏に関しては同情している部分も正直ある。その理由は、「前ラグビー協会会長」としての手腕は非常に高かったからだ。
政治家時代の評価を思えば意外に感じる人も多いだろうが、元首経験者の政治力は国内のラグビー関係者への引き締めと対外発信力では大いに活かされた。W杯招致成功は氏の最大の功績である。まあ、その功績は今回の失態とコインの表裏の関係だが…。

もう一つ腹立たしいと感じたことは、ラグビーW杯と五輪の関係をしっかり把握せず、ラグビーW杯バッシングを煽る人がいたという事だ。
そこには「ラグビー側が進めた国立再改修に五輪が後で乗っかった」という前提を忘れている建築関係者やジャーナリストもいた。聞いて呆れる話である。批判は構わない。でも、叩くので有れば最低限の事実を前提に論じて欲しい。
ラグビー関係者は今後、「風評被害」を克服するという新たな仕事も担ってしまった。それがいちファンにとっても極めて残念である。

むしろラグビー兼五輪界で無能ならば河野一郎理事(政治家じゃない方)を叩いて欲しいんですけどね。

※事実関係の整理は下記のブログ記事をおすすめします。
新国立競技場の建設費が高いのはラグビーW杯のせいなのか?
ラグビーワールドカップを新国立競技場なしでやるとどうなるか考えてみた

いちファンの方の記事ですが、わかりやすくて問題に乗り遅れた僕も助かった・・・苦笑


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新国立撤退後のラグビーW杯像というのを、少し考えてみたい。

「五輪とのカップリング」による相乗効果を狙っていた身としても、このような悲しいかたちで関係解消となるのは想定外だった。
五輪側はプレ五輪としての役割を、ラグビー側は五輪に抱き付くことで新国立という収益源の確保と知名度向上を果たせると私は踏んでいた。
皮肉なことに、悪い意味でラグビーW杯は知名度を得てしまったのだが…。

何より、新国立撤退による収益原の喪失は頭の痛い話だ。
サッカーW杯や五輪とは違い、ラグビーW杯は諸般の都合上収益をチケットの売り上げで賄わなければならない。ラグビー大国から多数の人々が来訪する大きなイベントとはいえ、国内人気を考えると心許ない。

幸いにも、横浜国際競技場をW杯で抑えてあるのでゴールデンカードは(酷使前提で)大きなキャパで開催できる。(最初は開催計画が無かったが、抑えておいてよかった…?)また、釜石、熊谷、花園といったモチベーションの高い開催都市もある。
ラグビー関係者と開催都市である東京都にお願いしたいのは、「日本にラグビーの文化を残す」という観点で新たなスタジアムをチョイスして欲しいという事である。それは秩父宮ラグビー場の解体見直しなども含めて、強気に攻めて欲しい。

ラグビーW杯の計画は再び見直しの段階に入るし、シビアな現実は眼前にたくさんある。故に、「新国立でプレ五輪」という縛りがなくなった今、この件をキッカケに良い意味で開き直り、よりラグビーの事だけを考えて各々活動に励めば良いとも思っている。
「みんなのために」も大事だが、まずはラグビー界が「自分のために」良いと思ったことを、淡々と進めていくののみである

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