2013年6月18日火曜日

「楽しいラグビー」のつくりかた ~第2話 日本代表対ウェールズ代表戦について~



前回のエントリーを読み返してみると、「ドキッとするほど予想が当たった!」と自慢したくなる。
相手を焦らすディフェンス、高温多湿の後押し、そして廣瀬主将の元で最後まで冷静に戦いきる…
やりたい事を日本代表は全て実現し、ウェールズ代表という強豪国を難なく破った。

もちろん、「ウェールズ代表は2軍」というエクスキューズは付くだろう。
しかし、「試合に勝ったのは日本代表」であり、今ある人材と知恵、更にはその日のあらゆる状況を全て力に変えたて試合に臨めたのである。
文句なしの内容であり、トンガ戦よりも改善されたと認めるしかない。

という訳で、今回は試合雑感とウェールズ戦を受けてファンが受け止めるべき事とは?の2つをお話したいと思う。





エディ・ジャパンの「雛型」が見えた


先のトンガ戦と異なり、今回の日本代表の戦いぶりには掌を返して褒めざるを得ない。
それほど内容の濃い試合を見せてくれたと思っている。

オフェンスに関しては言うまでも無く、テンポの良い球出しで流れをつくり、フェーズを重ねる事でスペースを創出した。
特にウィングの先制トライは素晴らしかった。
ウィング個人の動きはもちろん、2フェーズ前にクラッシュしたウィングがすぐ外のポジションに入り、ボールを受け取ると体力を惜しまず加速する…一連の動きからは「献身」と「視野の広さ」が読み取れる。
こういう動きが増えれば増えるほど、日本代表は強くなれそうだ。

ディフェンスについてもしっかり戦略を立てていたと感じる。
これまでの試合と違い、長いキックを多用していた。
これによりウェールズの攻撃ラインが一気に後ろに下がり、落ち着いてディフェンスラインを敷く事が出来たのである。
前半は攻め込まれるシーンが多かったが、今思えば「攻めている」のではなく「攻めさせている」という性質のものだったのだろう。
要領よくウェールズ側の体力を減らす事が出来たのは、言うまでも無い。

ラグビーファンに与えた衝撃も含め、この試合がエディジャパンの「雛型」になると思う。
PNCの残り2試合も同じような流れで戦うであろう。
そこからどのような「守破離」が待っているのか?
未来が開けた分、ようやく先を考えるのが面白くなってきた。


コミュニティの再生と生成に向けて


この試合は2万を超える観客が集まり、ラグビー日本代表に声援を送った。
細かい部分で不満は散見されるだろうが、花園と秩父宮で「日本ラグビーが持つ最大限の力」を結集できたのは良かったと思う。

今回の2万人はどちらかというと「旧来のラグビーファン」であったり「ラグビー関係者」が多かったと感じる。
裏を返せば「これからラグビーに踏み込んでみたい」という方は少なかったのかもしれない。



どちらかというと、この試合の持つ意義はラグビーファンの中にある「眠っていた熱意」を呼び覚ますための試合だったと思う。
そして、その熱意をどのような方向にもっていくべきか?というのを多くのファンに突きつけている。


私自身が感じている部分を1つ挙げれば、それは「ラグビーコミュニティの再生/生成」である。
ラグビーの楽しさを多様な人が共有するためにはどうすれば良いのか?
秩父宮や花園にいた4万人強の観客以外にも、この日味わった感動を伝わり易くするにはどうすれば良いのか?
そういう疑問からコミュニティの再生や生成が始まり、大きなうねりとなって広がっていくのではないだろうか。


ピッチ上の日本代表と同じく、残り2試合で試行錯誤を続けていかなければならないだろう。
燃え尽き症候群になりそうな体に鞭を打ちつつ…ではあるのだけれども


0 件のコメント:

コメントを投稿