2014年4月8日火曜日

これからのセブンズをつくろう! ~東京、香港、そして横浜の片隅で考える~


衝撃のラスト


さる3月30日、香港で7人制ラグビーの日本代表がひとつの快挙を成し遂げた。
セブンズワールドシリーズのコアメンバー入りを賭けたトーナメント戦に優勝し、来季よりコアメンバーとして世界を転戦する機会を得たのである。
(F1のシート獲得というイメージに近いのではないだろうか)

一昨年の香港大会でコアメンバー入りを逃した後、セブンズ界には重い空気が漂っていた。
満足いくチーム編成ができず、完敗を喫した第1回東京セブンズ。
その後瀬川監督が就任し、「ブレイクダウンの強化」からチームづくりを始める。
チームとしての一体感が生まれ印象も良かったのだが、「ブレイクダウン」というセブンズにおいてはニッチな分野を強化することに批判の声も強かった。
昨年の香港大会はコアメンバー入りを逃し、続く東京大会もシールド優勝とはならなかった。
底は打ったが、まだまだ世界との実力差があることも浮き彫りになった。


それら2大会と比較すると、今大会は進歩のあとが垣間見られるものだった。
特に攻撃ではアイデアや選択肢の広がりを感じさせられて、かつ楽しい要素も増えていた。
大会前は議論の的となった藤田や福岡も、急ピッチの調整ながら持ち味をみせた。
特に藤田はゲームメーカーという新たな顔をみせることに成功。
パスの技術がもう少し上がれば、専任も視野に入れていいのではないだろうか。
試合運びの拙さでボウルトーナメント敗退に終わったが、それらの修正は香港大会でしっかりできたと言えそうだ。

念願のコア入りを成し遂げたとはいえ、日本ラグビー買いにおけるセブンズの資源は少ないと言わざる得ない。
本城GMを中心に今後のロードマップはどう形成されていくだろうか。
代表においては瀬川HCのサポートを中心としたコーチングスタッフの再整備。
五輪予選や本大会を念頭においたアイランダー諸氏の帰化。
度重なる海外遠征の中、選手の拘束をクラブとどう折り合いをつけるのか…などなど。
問題は山積である。



国内においては、日本にどうセブンズの文化をどう根付かせるかが問題になる。



そのヒントを探りに、横浜山手の小さな丘で開かれたセブンズ大会に足を運んだ。
大会名は「YC&ACセブンズ」という。
今年で55回目を迎えた老舗のセブンズ大会であり、毎年16ものチームが覇権を争う。
私が初めて足を運んだのは3年前だが、穏やかな雰囲気とどことなく漂う異国情緒にはまりつつある。

そんなYC&ACセブンズに今年気が付いた変化がある。
それは参加する各チームが「おらがセブンズ」を追究しつつあるということだ。
残念なことに、これまではモチベーションが低かったり、少々場違いな戦い方をするチームがあった。
しかし、今年はレベルの高低差はあれど、各チームしっかり準備し、拙くとも見よう見真似でスタイルを追究している事を垣間見ることができた。

その中でも、自らのチームスタイルを確立しつつあるものも出てきている。

問答無用でスピード命の東海大。

ユニオンに近いかもしれないが、攻守の集散が見事な筑波大。

前7人制日本代表監督がスキルを落とし込み、大波乱を生んだ専大。

老練なタマリバと北海道バーバリアンズ。

今大会注目の的となったコストカッツは、専任チームらしいメンツと動きを見せた。場数を踏めばもっと面白いチームになる。

そして、優勝した流通経済大学。自らの手で小さなセブンズ大会を始めるなど、元からセブンズのカルチャーがあるクラブだった。それがようやく、実績の部分でも実りつつある。まさに今は黄金期という印象だ。




東京大会後、ある記事で見たフィジー代表のベン・ライアン監督のコメントが印象に残っている。

「フィジーはセブンズが国技と言えるくらい盛んで、国民が掛ける熱意はすばらしいし、選手たちは一度ゾーンに入ると誰にも止められない力を発揮する」

このような相手たちと、我々はセブンズワールドシリーズで戦わなければならないのである。

東京セブンズのおかげで熱が生まれ、それは徐々に広がり、良い遺産が形成されている。
YC&ACではその胎動を見ることができた。
着実に歩みは進んでいる。
だからこそ、これからもよりよいセブンズの環境を整え、来年の東京大会で再び笑えるようにしたいのである

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