2015年5月20日水曜日

「新しい中大ラグビー」の始まり? ~関東大学ラグビー春季大会 中大対青学大戦雑感~



今年のキーマンもやはりこの男?


未成熟な戦い方だったが、そんな今の不満よりも「完成形への期待」が大きい。
「新しい中大ラグビー」の方向性は確かに示された一戦といえるだろう。

改めて試合を振り返ると、浮き沈みの激しい80分間だった。
序盤はフルスロットルで攻める中大。素早いパス回しから数的優位をつくり、高のトライなどで前半20分までに17-0と突き放す。
FL山下主将やHO山本、遠征に参加しているCTB笠原など、主力選手は欠いているがここまでは「実力差通りに中大が押している」展開だった。
しかし、些細なミスや不安定なジャッジに翻弄され、急速に中大の勢いは衰えてしまう。相手LO八頭やNo.8佐々木など、ペネトレーターに簡単に突破を許し、あっと言う間に3トライを奪われて逆転。
中大は前半終わりにハイタックルの繰り返しでPRの井村をシンビンの判定。まさに前途多難な前半だった。スコアは17-24で折り返す。

後半もしばらく青山学院大ペースで最大14点差開いたが、中大はベンチワークと運動量で盛り返す。
途中出場のSH住吉とCTB井出がゲインを繰り返し、再び中大のバックス攻撃に勢いが増し出す。また、暑さの影響で青山学院大のプレーヤーの運動量が落ちる中、中大は足を止めずに生き生きとプレーを続けた。後半35分の時点で38-38の同点だったが、主導権自体は中大が握り続けており、ピッチの選手たちに焦りは見えなかった。


ラスト20分の住吉は心強いが、レギュラー奪取も諦めてはいけない

後半38分に単独突破した住吉が、ロスタイムにはゲームキャプテンを務めたWTB渡辺の独走トライも決まり、最終スコアは52-38。
不安定な戦い方で自ら手放したゲームの流れを、チーム一丸となって取り戻す事ができただけに、スコア以上に好印象のゲームとなった。

守備面の戦術はまだ未着手の印象もあり、大味な戦い方となったことは否めない。
しかし、中大ラグビー部が新たなる一歩を踏み出そうとしていることを踏まえると、この試合の内容と結果は評価できるものである。

昨年との大きな違いは攻撃、特に80分間で1回もモールに頼らなかったのは大きな驚きだった。
確かに、バックスには「大駒」と呼べる選手は多数揃っており、素早いパス回しを基調とした展開ラグビーを実践することに異論はない。。
だが、昨年のラグビーで最大の強みだったモールを「敢えて手放す」という決断はリスクも伴うものである。
上積みよりも変化を望み、変化から成長を目指す。

それでも、中大ラグビー部は決断を下した。現時点でその決断は、前向きな結果へと進もうとしている。
新しい展開ラグビーはファン、なにより選手たちの心を掴むものになるのだろうか?
今年もまた色々な意味で、中大ラグビー部から目が離せなくなっている


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