先週金曜日にブラインドサッカー日本代表の試合を観に代々木のフットサルコートへ行ってきました。大会名はIBSAブラインドサッカーアジア選手権2015と言いまして、今大会はリオパラリンピックの予選も兼ねております。
ブラインドサッカー? という方に簡単に説明すると、いわゆる視覚障害者の方が行う5人制サッカーです。健常者も目隠しをすればプレーオッケーなのですが、国際大会の場合は、フィールドプレーヤーは全盲の方のみに試合出場資格が与えられます。また、ゴールキーパーは晴眼者ないしは弱視者がプレーしています。
昨年の冬に都内で世界選手権が行われたこともあり、障害者スポーツの中では認知度が高い種目だと思われます。私も某サッカー番組の特集を見ましたが、そのプレーの精度には驚かされました。でもって、今回突撃してきたわけです。
プレーの何がスゴいのか? と言われると「ドリブル技術の高さ」に集約されます。
視界が閉ざされた中、足でボールを操るというのは相当難しいことです。私も体験コーナーで目隠ししたままプレーしましたが、とにかく「ボールがどこにあるのかわからない」、そして「少しボールから足が離れるとプレーできなくなる」と痛感しました。
ですので、「シザースやフェイントをする」やら「シュートを打つために振りかぶる」やらはブラインドサッカーでは御法度です。常に足とボールを一体にしてドリブルとシュートをする。さすが代表クラスになると難なく運んでいますが、そこには細かすぎるほどの足下の技術があってこそなのです。
試合観戦も独特で、試合中は静かにすることが常に求められます。というのも、プレーをする為に必要な情報を全て耳で補っているからです。試合中は各々念じたり、囁きながらエールを送っていましたが、試合開始前、試合終了後、そしてゴールが決まった後の「ため込んだモノを全て吐き出す歓声」は本当に熱くなるものがあるのです。
このシュートを止めたのはデカかった!
さて、肝心の試合ですがここまで未勝利&無得点の日本代表は韓国のワイドな攻撃に苦しめられます。しかし、前半16分にフリーキックのチャンスから黒田が見事なシュートを決めて先制! 前半終了間際に第2PKを与えてしまいますが、GKの佐藤がナイスセーブ。1ー0のリードで折り返します。
後半も一進一退の攻防が続きましたが、後半10分に佐藤の素早いロングスローが敵陣で待機していた川村に見事届きます。
書くと何でも無いようなプレーに見えますが、とにかく視覚では判断できない状況です。ゴール裏に立って指示を出す「ガイド」と、ボールから発せられる僅かな鈴の音を頼りにポジショニングを修正しなければならないのは、ある意味「研ぎ澄まされた直感」に頼る部分もあるのでは? と素人は思うのです。
その受け取った大事なボールを一気に振り抜き追加点! これで相手の戦意はほぼ喪失したと言って良いでしょう。
守備では「ダイアモンド」の陣形を最後まで貫き、相手にシュートチャンスを与えず。2ー0で試合終了し、日本代表は待望の今大会初勝利を挙げました。
ブラインドサッカー、もとい障害者スポーツを観るのも今回が初めてでした。そこで思ったのは「障害者スポーツ」という色眼鏡などかけなくても、ピッチ上で行われている事象はスポーツとして非常に素晴らしかった、ということです。
残念ながら、今日(6日)終了したグループリーグ戦で3位に終わり、日本代表はリオパラリンピックの出場権を得ることができませんでした。
非情に悔しい結果ではありますが、次の世界選手権、そして東京パラリンピックに向けて、引き続き「試合が見たい!」競技だという事には変わりありません。
何より、ネガティブな事象が目立っている2020年の東京オリンピックですが、それと同時にパラリンピックという大会も行われ、その舞台を夢見る人々が多数いるということも頭にいれなければならないと痛感しました。
彼らのために、そして成熟した社会でスポーツを楽しめるようにするには? というテーマは、今大会が終わっても引き続き考えなければいけませんね
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