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『月刊群雛 (GunSu) 2016年 04月号 ~ インディーズ作家と読者を繋げるマガジン ~』 鷹野凌(著・編) 大西寿男(著) 黒桃将太郎(著) かわせひろし(著) 東方健太郎(著) 菊地康之固有正弦波(著) 波野發作(著) 新矢イチ(著) 浅野佑暉(著) 米田淳一(著) 儚月響(著) 蒼真怜(著) 0.9Gravitation(表紙デザイン) 宮比のん(群雛ロゴ) 原田晶文(編) 晴海まどか(編) 竹元かつみ(編)著
群雛の特徴に「類は友を呼ぶ」という傾向がありまして、何故か似たような雰囲気の作品が集うというのがあるのですが、今回は独特な雰囲気の作品が集いましたね。今までの号にこういうテイスト無いよなあ、というのが率直な感想です。自分が読んだことがない、触れたことがない作品が多かったです。
ただ、このオリジナリティをいち読者として捉えると、「尖っていて面白い」と「なんだろうこれ?」に二分されるのも事実です。後者の課題を克服するには「受け入れやすいように書く」か「何度も作品を掲載して、作風を理解させる」かのどちらを取るかになるのですが。
また、以前米田さんがおっしゃられていたのですが、「本当に書きたい人だけにして、ぐっとこらえて他のキャラクターで代名詞を使うだけで名前を出さないほうがいい」という部分で気になった作品もいくつかあります。(スポーツものも固有名詞が肝なので、これは非常に気にするようになった)
なので、全体的に「何を書くか」よりも「何を差し引くか」「引いたあとに何を加えるか」を考えさせられる号だったのかもしれません。
それでは各レビューをどぞー
黒桃将太郎『咀嚼夫人』
トップバッターからがっつり挑戦してくるなあ、という感じ。ヤクザが出てくる訳じゃないんだけど、全体的にVシネマ的な色合いで映像が再現される。
設定は「なるほど」の一言。擬音の使い方をはじめ、表現は濃厚な味わい。ストーリーもベースは勧善懲悪だけど、ストレートで終わらない捻りもある。ラストに登場人物が沢山出てきてバタバタしてしまいましたが、それよりも群雛に新しい風を吹かせてくれる期待感の方が今は強いです
かわせひろし『太陽のホットライン』
咀嚼夫人のあとに少年たちの爽やかな活躍を掲載されるあたり、神様はずいぶんヒドいことをするものですね…苦笑
今回は「ホットラインが解消されたら」というテーマ。前回でしっかり太陽と光のキャラクターが描かれているから、「やっぱりこうなるよなあ」というのもすんなり入ってくる。でもって、ラストにひと捻り。次回も楽しみになるつなげ方ですね。
東方健太郎『不思議のアリス』
ストーリー自体はすんなり流れて不満は無いのですが、ちょっと登場人物の配置で「おや?」となる部分があり。掌編ですし、設定はミニマムかつわかりやすいかたちでも良かったのかもしれません。前回の「珈琲」も似たような課題でしたので、ちょっと勿体ない。不思議な会話から答えを絞り出す流れはスムーズでした。
菊地康之固有正弦波『拡張妄想力の掟』
このシュールさをどう捉えるかなのだと思う。読みやすさ、入りやすさで言えば少しお客を選ぶところがあるのは否めない。対戦シーンをもう少し膨らませると良かったのではないでしょうか。
波野發作『カは宇宙貨物船のカ』
「オルガニゼイション」シリーズはやっぱり「商人との駆け引き」が魅力だよなあ、と再認識。秋葉先生の掌の上で踊らされてしまいました。最近群雛文庫で再読しているのですが、より各話どうしの結びつきもクリアになってきました。あと、個人的には「飛び回れ青春」がツボ。
新矢イチ『愛を知らぬ獅子王の物語』
こういう作品も群雛では珍しい、ないしは久々? 短いけれども、良い流れでストーリーが展開されていました。掌編が良いか、それとも短編が良いかというよりも、レオンとナルの関係に何かしらの複線を混ぜておけば、ラストの感動もより増幅されたかなと思っています。
浅野佑暉『奏でるということ』
「パトリシア」と同じ構図で物語は進みつつ、今回は「音楽」という自分的にも好きなジャンルだったのですーっと物語が入っていきました。良い物語の「型」を持っているので、このかたちで量産していくことも可能でしょう。欲を申せば、もっと少年の情熱がほとばしる描写があっても良かったかも。
「写ルンです」が若い人たちの間で流行り始めてる理由が「現像するまでどんな写真になるかわからないのが新鮮」ってのを見てジェネレーションギャップ……生まれた時から便利なものが多いから不便さがエンタメになる世代なのか— ogros (@ogrosman) 2016年4月4日
何故かこのツイートを思い出した。
米田淳一『鉄研でいず3』
だんだん「鉄研でいず!」が楽しくなってきた! でも、全体的な情報量は以前よりも多め。要因を探るとつまり「物語の中軸が長原嬢に収斂されていた」ということだと思っております。登場人物の多さが気にならなかった。あとは話が進んでいくうちに、他の人物のキャラがどう立っていくかを楽しみたい。ガルパンにルビを振っている箇所が個人的ツボ。
儚月響『妻は元AV嬢』
こっちはロマンポルノ的な話だなー、というのが第一印象。タイトルを見て、①表現のエロさを楽しむ ②元AV女優という設定が生み出すハラハラ感を楽しむ のどっちだろう? と思っていたのですが、予想よりも②寄りでした。
故に、話が転調する回数は少ないほうが興奮できる(物語的な意味で)と思いました。場面を削った分、背徳感を煽る文章が描けるのではと。
蒼真怜『群雛』
前の話が前の話だけに、絶妙な着衣ぶりがよからぬ想像を(ry) 1周年記念号と似ているようで異なるアングルなんだけど、それは群雛の立ち位置が変化したということなのかもしれないですね
何はともあれ、皆様お疲れさまでした。次月号も期待しております
NPO法人日本独立作家同盟 (2016-03-28)
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