2013年9月22日日曜日

トップリーグ2013-14序盤戦で感じた「○」と「×」 ~①各チームのコンディション考~



新方式のトップリーグも3試合行われました。
それなりに盛り上がりを見せつつあるのは良い事ですね。

さて、第1ステージの残り4試合やウインドウマンス、第2ステージへの展望などを考えると、ここで一旦「良い事」と「悪い事」を整理しておくべきだと思いました。
Toggeterでのまとめで得た各々の反応も踏まえつつ、個人的な「○」と「×」を発表させて頂きます。

今回はここまでの各チームの戦いぶりについて。
次回はファンの立場から「トップリーグで見つけた発見」やファンサービス(グリーティングタイムなど)、観客動員について考えてみます。


第3節までの回顧と総括


まずは各チームのコンディションチェックから。
今年からスタートさせた「個人採点評価法」を「チーム」にも応用してみます。
3節までの戦いぶりからスタートダッシュ度を評価してみました。
「6.0」が平均点です。
また、コンディションを序盤に持ってきている(と私が推定した)チームから逃げ→先行→差し→追込と表記しています。


サントリー:5.5(追込)
東芝:5.0(追込)
パナソニック:5.0(追込)
神戸製鋼:6.0(差し)
トヨタ自動車:5.0(?)
ヤマハ発動機:6.5(先行)
近鉄ライナーズ:5.0(?)
NEC:6.5(先行)
NTTコム:4.5(?)
リコー:5.5(差し)
キヤノン:6.5(逃げ)
九州電力:5.0(差し)
NTTドコモ:6.0(逃げ)
コカ・コーラW:5.0(逃げ)
クボタ:6.5(先行)
豊田自動織機:5.5(先行)




本題に入る前に、「コンディションのジレンマ」について説明したいと思います。
サッカーで数々の功績を挙げた名監督、カルロス・アンチェロッティ氏は自著の中でこう述べています。

「なぜシーズン序盤ではこの様な番狂わせが起こるのか? 結論から言えば、最大の要因は、タイトルを狙うビッグクラブと、残留を争う中小クラブとでは、開幕時点でのフィジカルコンディションにははっきりとした差があるという事だ」(アンチェロッティの戦術ノート p223-224)


要するに、

・ビッグクラブ→リーグ戦やトーナメント戦で優勝したい!→コンディションのピークをシーズン末に持ってくる
・中小クラブ→とにかくリーグ戦で残留したい!→コンディションのピークをシーズン頭に持ってくる

このコンディションづくりの差異により、序盤戦の「ビッグクラブ対中小クラブ」では「ジャイアントキリング」が起こり易くなっているのです。

実力伯仲のJリーグではピンとこないかもしれませんが、クラブの戦力差に格差がある(そもそも、競技の特性上、実力差がつきやすい?)ラグビーではこれに似た傾向が見られるのです。
という訳で、今日はトップリーグ1stステージ(第4節も注目必至?)を考える上では見逃せない「下位陣の奮闘」を少し分析&予測してみたいと思います。


「大逃げ」のキヤノンと「粘った」九電


特に昨年残留に成功したキヤノンと九電は、第3節までに面白い勝ち点の取り方をしています。
キヤノンの場合は開幕戦のドコモ戦を制すると、2戦目の東芝戦で奮闘。
6点差の敗戦に抑え、貴重な勝ち点1をゲットしました。
開幕3試合で勝ち点6、折り返しの7節時点で11、最終的には勝ち点19でトップリーグに残留する事ができました。

九州電力は開幕戦のでサニックスに完敗するも、2節のサントリー戦、3節のトヨタ戦で奮闘。
両試合とも7点差以内の敗戦に抑え、勝ち点を奪う事ができました。
開幕3試合で勝ち点3、折り返しの7節時点では累計4と低迷するものの、後半戦はドコモとリコーを破り、最終的には累計勝ち点16で残留しました。

前者は「逃げ」で後者は「差し」と、コンディションづくりは若干異なるのですが、共通点は浮かび上がってきます。
ドコモが初めて勝ち点を得たのが第7節(!)であったり、開幕戦を勝ったもののその後は大量失点が続いたサニックスらも併せて踏まえると、序盤で…

①「強敵から勝ち点を奪う」
②「ライバルを叩く」
③「戦い方を安定させる(敗戦をロースコアに抑える)」

といったポイントが非常に大切だとわかります。
この序盤戦で与えた印象は、シーズン終盤になっても衰える事は無いのです。


明暗分かれた下位チーム


危機感持った方がいいぞ…

そう考えると、昨年の下位チームは明暗が分かれたのではないでしょうか。
勝ち点的には振るいませんが、キヤノンは非常に印象の良い戦い方をしていまし。
特に東芝戦とパナソニック戦の奮闘&勝利は「衝撃」に近かったですね。
リコー戦で勝ち点1に留まったのは痛恨ですが、それでも上記①と③の要素には当てはまっています。

また、ドコモも目下のライバル、織機と九電からしっかり勝利を奪い、勝ち点10。
クボタも前節の東芝戦はアップセットまであと1歩というところまで追い込みました。
この3チームは充分4位争いに絡めるチャンスがあるでしょう。

最も勿体ないのは豊田自動織機。
3試合とも7点差以内での敗戦、特にトヨタ戦とコム戦はリードしている時間も長かった。
上位陣との戦いも多く残っているだけに、見た目以上に危ない状況ではないでしょうか。

コーラと九電の九州勢は厳しいスタートとなりました。
コーラはキヤノンとクボタ戦が残っているが、両者が上昇ムード故に難しい戦いになりそう。
また、九電は昨年は終盤で粘り強さを見せたが、「サントリー戦とトヨタ戦での猫だまし」が利いていた側面もあります。
勝ち点を奪えない状況は、チームのメンタリティを考えると苦しいものがあります。


底上げ必至の上位陣、気の緩み捨てたい中位陣


序盤戦の上位陣については、殆どのチームが足取り重く、コンディションもまだまだこれからだと感じます。
ですので、この時点で「もう駄目だ!」「終わりだ!」というのは避けたいところです。
トヨタが予想以上にだらしないのが気がかりなくらいで。
サントリーから神戸製鋼にかけては、色々と試しながら「選手層を厚くする」ことに専念すべきでしょう。
特に東芝、パナは誰が「コアの日本人/外国人」選手なのかをしっかり定義しておくべき(ヤマハも同じ課題かも)
NECが予想よりもコンディションを前目に持ってきているのは、ちょっとした驚きでした。
まあ、神戸・サントリーと立て続けに試合がありましたからね…そこを読んで順位予想をすべきでした…

新リーグ制度で最も割を食ったのが中堅3チーム(リコー、Nコム、近鉄)。
地力に勝る上位勢&一発泡吹かせようと本気の下位チームの勢いに飲み込まれまくってます。
まだ勝てる相手との試合が残ってはいますが、一旦崩れると「草刈り場」になりかねません。


第4節で方針が決まる?


こういうスコアを歓迎します

不甲斐ない中堅陣&スタート失敗の下位陣の中には方針転換し、「1stを捨てて2nd勝負」というところも出てくるかもしれません。
リーグ戦がつまらなくなる可能性が高くなりますが、僕はそういう戦い方をしても良いと思う。
今年のリーグシステムは「這ってでも上位を狙うのか」それとも「下位グループの盟主を目指す」のか、それがはっきりしたチームの方が、戦い易い仕組みではないでしょうか。

そういった意味では、第4節の勝敗が「今後の方針」をはっきりさせる試金石になると思います。
キヤノン対近鉄以外は「上位対下位」系のカードが並んでいますので、そこで奮闘出来れば夢が見られるし、完敗に終われば現実を見据えないといけないでしょう。

ここまでは接戦が多く、好意的に新制度は受け入れられている感があります。
この状況をキープするためには、下位チームの猫だましが「本当の自信」へと変化していけるのか?を吟味する必要があるのではないでしょうか

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