第2試合は目黒学院対東京高校。前者はトンガ人留学生を擁し、昨年は久々の花園出場。今日の試合も3人、センターラインに配置されている。彼らが楽しくプレーできるかどうかがキーになりそうだ。
後者出身の卒業生は、我が母校にも多数進学している。彼らを見ていると、冷静であるけれども、時折見せるタックルは巧く、かつ熱い事に気がつかされる。故に、敵のペネトレーターにどう立ち向かうかが焦点になる。
試合前、目黒学院は円陣を組み終えると1列に並び、昨日の試合よろしく「ウォークライ」を披露した。彼ららしい振る舞いだと思った。(写真1枚目)
面白かったのは東京側もプレーヤーが1列に並び、揃って大きな声を挙げたことだった。(写真2枚目)
このウォークライ対決(?)がサプライズかどうかは詳しく存じないのだが、微笑ましくも、両者の気合の入りようも垣間見られる良いシーンだった。
まず主導権を握ったのは目黒学院。前半5分と15分にCTBのアタアタがトライ。力強い突破力、そして風格はまさに「チームの要」というにふさわしいものだった。
試合の入りに苦労し、東京はもどかしい時間を過ごしたが、敵のミスをキッカケに1本トライを取り返す。一進一退の攻防を繰り返し、12-7で前半を折り返した。
試合自体はスローテンポだった。しかし、解り易い個の力を活かそうとする目黒学院と、しぶとく耐えて組織で打開しようとする東京という対立軸がしっかりハマり、全く飽きることは無かった。
また、小さなミスを逃さず得点に結びつけようとする両者の試合理解度の高さも目を惹くものがあった。
後半もまずは目黒学院がトライを奪い突き放したかに見えたが、尻に火が付いた東京の運動量と組織力が追いつめる。
18分はモールを起点にSHの森が、26分にはSOの横山が守備網を破り逆転。
少ない残り時間の中、目黒も必死の反撃をみせる。東京は敵陣で必死の防戦。突如スピードアップした試合展開に、秩父宮はまるでアイドルのライブかと見まがうような、甲高い悲鳴声の応酬となった。
ロスタイム、展開攻撃からフリーになった目黒のWTBを東京は3人がかりでタックル。ボールはラックから出せずに万事休す。最後の最後まで集中しきった東京が花園の切符を手にした。
卒業生の活躍ぶりと同じく、東京の選手に息づくカルチャーはしっかりと根付いていると感じた。
いわゆるスローでベタな試合運びではあるのだが、個々のタックルと組織的なモールは洗練されている。また、リードしていてもされていても冷静である点も印象に残った。花園でも一皮むけた姿がみたいところである。
トンガ人の選手が日本のラグビーチームにいることは珍しくなくなったが、現時点では目黒学院が「日本で最もトンガっぽいチーム」だと感じた。
留学生を迎えたのはつい最近だと聞くが、彼らはチームのカルチャーに間違いなく大きな影響を与えているし、彼らに純粋な影響を受けたプレーヤーも沢山いた。
この試合が目黒学院でのラストになったテビタ、アタアタの両氏には先駆者としてのねぎらいの言葉をかけたい。
来日するトンガ代表の試合はたびたび生で見ていると、調子の良いときと悪いときのムラも印象に残るチームだ。この試合だと、少し手痛いミスを重ねていくうちに、段々チームのダイナミズムが失われていくのが勿体なかった。
大きくなって相手に勝ち、小さくなって自分に負ける。個人にとっても、目黒学院にとっても課題が露出したゲームだった。だが、これからもトンガっぽい「大きく勇敢に戦う」姿勢は保ち続けて欲しい
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