2014年12月26日金曜日

【前編】「成長」って、何だ? ~中央大学ラグビー部・2014シーズン総括~



6月某日、関東春季大会の最終戦が中大グラウンドで行われた。
対戦カードは中大対大東大。昨年は最後までわからない2点差の死闘だったが、半年を過ぎたら状況は一変していた。
中大のディフェンスは脆く、相手のビッグゲインを何度も許す。スクラムも押され、オフェンスでもエラーを繰り返した。モールと浜岸のキックだけが救いだった。

試合後、何名かの中大ファンと苦しい現状について重い口を開く。課題ははっきりしているんだけどね。淡い望みが何かを必死に考え続けていた。しかし、心の中では最悪の結末を用意していた。





2013年はリーグ戦で2位と躍進したものの、大学選手権では息切れし1勝2敗という苦しい結果でグループリーグ敗退。
更なる進化を目指して立ち上がった檜山組だが、そのスタートから大きく躓いた。

山北・羽野などのBK陣を中心にスタメンが大分入れ替わったと言うこともあるが、とにかく昨年まであった「戦い方の軸」が春は全く見えてこなかった。
そして強敵相手との連戦連敗が自信喪失に拍車をかける。春シーズンは全敗。
夏合宿でようやく待望のAチーム初勝利を挙げたが、やはり根本的な問題の解決には到ってなかった。




リーグ開幕戦の立正大戦は難なく逃げきり勝ち。しかし、落とし穴はすぐにやってきた。
法大戦、着実に得点を重ねるも、ディフェンスがなかなか粘れない。最後はだめ押しのトライも決められてあっさり勝ち星を逃す。
そしてターニングポイントの日大戦。大雨の中で行われたこの試合は、檜山組の最大の武器であるモールが不発。猛攻撃も虚しく、絶対に勝っておきたい相手に痛恨の黒星を喫した。
間違いなく、この段階では中大ラグビー部に楽観的な見通しを抱く者はいなかった。しかし、ここから檜山組の面白さをまざまざと見せつけらることになる。




話を春の大東大戦に戻そうと思う。Aチームが散々な戦いをする一方、Bチームはロースコアかつ引き締まった戦いぶりをみせていた。
Aには出来なくてBには出来るのはなんでだろう? 嬉しさともどかしさが胸の中を駆け巡っていた。
そしてその試合で、後半から途中出場を果たしたのがSHの加藤友彬だった。要するに、この時点で彼は「4番手のSH」だった。
彼の巧みなゲームコントロールによって、FWはいきいきと動き、後半は更に相手を引き離すことができた。

その加藤が、檜山組の「爆発的な成長力」を具現化するキーパーソンになるだなんて、この時の僕は全く思っていなかった。

(続く)

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