兄弟と言う縁がキッカケで同じスポーツを始め、共に一流のアスリートになる例は多々存在する。例えば、ラグビープレーヤーの横山健一(兄)・伸一(弟)もそれに該当する。彼らは鏡映しのようにそっくりな、双子の選手である。兄がウイング、弟がフルバックというポジションを担うことが多いが、「足の速さで活躍する」という役割は両者ともに同じである。
山形中央高校から拓殖大に進学(※健一は諸事象で伸一よりも1年遅れで進学)した二人は、そこでメキメキと頭角を表した。2006年に拓大を関東大学ラグビーリーグ戦1部に昇格させると、翌年はスピードと類い稀なるコンビネーションでトライを量産。リーグ戦3位の好成績と共に、兄弟の名をラグビー界に轟かせた。当時、彼らへのマークを指示しようとした某大学部員が、途中から「どっちがどっちか解らなくなった」という理由で黙り込んでしまった事を記憶している。
まるで当然かのように、二人は社会人も同じラグビーチーム(リコーブラックラムズ)に加入した。スピードを活かせる7人制では日本代表にも選ばれたのだが、ポピュラーな15人制の試合では、活躍の場は限られていたのが現実だった。
二人は2014年限りでリコーを退団し、揃って2部リーグの日本IBMビッグブルーに籍を移した。そして10月某日、秩父宮ラグビー場にて久々に活躍を観る機会を得た。試合は序盤から日本IBMが相手のセコムラガッツを圧倒。伸一は力強い当たりで相手守備陣に穴を開け、健一はそこから生まれた広大なスペースを、トップスピードで走り抜ける。健一はこの試合2つのトライを奪った。最終的なスコアは56-0で日本IBMの圧勝だった。
そっくりだが、決してピッチの上でダブっている訳ではない。「1+1」が「2」以上のプレーをまだ生み出せている。新天地で始まった二人の再挑戦は、これからもラグビーファンを楽しませてくれることだろう。
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※本作は「KDP作家版 深夜の執筆60分一本勝負」 お題「うつす/うつる」の参加作品です
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