2015年4月24日金曜日

【後編】太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ・保土ヶ谷大会 個人的雑感



という訳で、大会総評の後編でございます。

・雰囲気も良く、大会自体は成功だったと思う。
保土ヶ谷ラグビー場は屋根付きのスタンド(300人程度は収容可能)とゴール裏芝生席がある小さなスタジアムであり、ローカルラグビークラスならば充分な質は確保できる。
今後も足を運びたいし、色々なカテゴリーの試合を開催して欲しい。
ただ、表彰式は観客席の近くで出来なかっただろうか。後でFacebookに表彰式の動画がアップロードされたのは良かったのだが…。
スタジアムの構造上観客席側でやるのは厳しかったかもしれないが、もう少し「選手の表情が見える」アピールは工夫して欲しい。





ハンドオフで相手(165cm/95kg)を吹き飛ばした岡田のトライはお見事でした

・吉田義人や四宮洋平といった懐かしい名前が指導者欄に記載される中、最も光ったのは元神戸製鋼の名SH・後藤翔太だろう。
彼が率いる追手門大学は、2013年に女子ラグビー部を立ち上げた「新興勢力」である。
選手たちも入部当初は未経験で…というのが売り文句だった。
ところがどっこい、今大会の試合運びは「老獪」だった。
丁寧かつスピーディーにパスを展開し、時にはキック&ラッシュで相手守備陣を混乱させる。RKU龍ヶ崎への完封勝利は完璧な一戦と言えるだろう。
プレート決勝の日体大戦は相手のスキルに根負けしたが、今がゴールではない。このシリーズを通して「どこまで成長するか」という期待はますます強まっている。



ベル7のユニはフットサルチームの方に似ている?

・湘南ベルマーレが母胎となったラグビーチーム「ベル7」。残念ながらメンバー不足だろうか、今回はユニフォームのみ拝借し、「神奈川県選抜」名義での参戦となった。
ほとんどが関東近郊の高校生で構成されており、シニア相手に苦戦を強いられた。
だが、その中でも、しなやかな身のこなしで50mの独走トライを決めた久保(佐野日大高)のプレーが印象に残った。




・先に挙げた久保以外にも、注目すべき10代のプレーヤーは多数いる。唯一の高校生チーム・石見智翠館高校は、ひたむきな守備とチームワークでシニア相手に大いに奮闘した。
ボウルトーナメント決勝のTKM戦は残念ながら敗れてしまったが、勝者にエールを送る控え部員らに、TKM応援団が拍手喝采を送る姿は微笑ましかった。




・そんなティーンエイジャーの中でも、チャレンジチームの堤ほの花は名実共にMVPにふさわしい選手だった。チャレンジチームとは、自衛隊の部員+有望な高校生らで構成されている、いわゆる合同チームである。
しかし、実力はチャレンジという名前が失礼に感じるくらい高かった。丁寧にパスを繋ぎ、スペースを生み出したところで速攻勝負。シンプルな戦いぶりだったが、それ故に大外で勝負を仕掛ける堤の個人能力が大いに目立ったのだ。
高校の単独チームで参加できないプレーヤーが多い中、選抜組が見せた活躍は後進たちに大きな刺激を与えてくれることだろう。




・さて、カップ決勝戦は絶対王者ARUKAS KUMAGAYAと先述のチャレンジチーム。
前半はARUKASのカードトラブルもあり12-5という接戦となったものの、後半は一転してARUKASが攻勢を続ける。
反攻の立役者はマテイトンガの個人技だったが、岩井を中心としたFW陣の活躍も大いに称えなければならない。彼女らのボールキープがチャレンジチームから勢いを奪っていった。
終わってみれば40-10の圧勝で幕を下ろした。
前日の予選リーグも、ARUKASとチャレンジチームは対戦しており、その時は22-21という大接戦だった。昨日の反省を忘れずに、しっかりと対策する。王者の慢心は微塵も感じられなかった。

大駒を活かすために、各々はどう動くべきか? 
決勝戦に進んだ両チームから共通点を導くならば、こうなるのではないだろうか。
この命題に対して正答を出したチームが、今大会で印象に残ったチームだと言える。
そして、3ヶ月にわたる長いシリーズを通して、参加者たちが成長のための答えをどう見つけるのか。また足を運んで見守りたいところである

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