2015年4月30日木曜日

【後編】「月刊群雛」の分類とインディーズ作家の精神について



さて、昨日の月刊群雛を内容の方向性で分類し、各号の魅力を探求してみよう! の続きである。
今回は各号の特徴を解説し、上記表の通りに分類した理由を記していこうと思う。
なお、解説文章の一部は当方のブクログの内容と重複している部分もある。予めご了承願いたい。

群雛各号の詳細はコチラのリンクを参照下さい。



・ホラー雑誌かと思ったぜ、10月号

マタギは出るわ、悪夢を見るわ、幽霊は出るわ、変な組織に入れられるわ、事故は起こるわ…。宇宙やタイムスリップも未知数な世界故に、広義のホラーなのかもしれない?
個人的な話ですが、同盟加入後が初めて読んだ群雛がこれなので、「俺は畑違いの雑誌に参加するのかなあ…」と不安になりました。
分類するならば「シュール×ヘビー」。そういう意味では、不思議な雰囲気で濃い作品が多数詰まった一作という見方もできるでしょう。

・俺たちにジャンルは無い! 11月号

僕が読んだ群雛では「最も幅広く取り扱っている号」。小説はもちろん、詩、評論、エッセイも揃う。題材もSF、推理、ホラー、スポーツetc…。
カテゴリーは「ベタ×ライト」。ただ、ライトな要素の方が強いだろうか。
「ジャンルを問わずに何でも読みたい」や「インディーズ作家はどんな作品を書くのだろう?」と知りたい人向けだ。

・「読書力測定機」としての12月号

群雛12月号は濃い。というか、メンツもジャンルも中身も濃すぎませんか?(苦笑)
1番バッターは「計算する知性」で1月号と同じなのだけれども、2番3番以降の個性で相当変わってしまいますね。
カテゴリーは「ベタ×ヘビー」だが、圧倒的ヘビー寄り。
石神くんや胸キュン恋愛小説もヘビーに見えてしまうから不思議。
ちょっと読者を選んでしまう作品が多いのは、事実であり見所でもある。ただ単に「難しくて解りません!」というものでも無いので、自分の「読書力」を試すにもリトマス紙良い一冊だと思います。
前半と後半のどっちが好きかで語る印象は変わると思う。僕は後半戦の方が好きです…

・超個人的群雛ベスト 1月号

これから「月刊群雛」を読むんだけど、最新号や創刊号の次に買うとしたらどれ? という問いがあれば、僕は1月号を間違いなく推薦する。
最大の理由は作風のポジショニングが良い事。カテゴライズするならば、「ベタ×ヘビー」。ベタで読み応えのある作品が多く、かつ明るいものと暗いものがバランスよく配置されている。1月号は「躓く」作品が少なかったのでとても好印象だった。
「初めての群雛」として推したい号は幾つかあるが、総合力で言えばこれが一番良いと思う。

・朱に交われば赤くなる? 別冊号

ズバリ、「群雛作家の本気」を知るための1冊。
共通テーマ「記念日」で書かれた8作品のモチーフはそれぞれ異なりますが、雑誌としてのポジショニングは何故か中道寄り。ベタとシュールが半々ずつあるので、カテゴライズが非常に難しい。キャリアや得意分野が違う作家さんが、同じテーマで書き比べながらも、ネタが殆ど被っていないのは凄い!?
作家の本気度がフルに発揮されると、案外中道に収斂されるものなのでしょうか。

・徹頭徹尾シュールの道へ 2月号

群雛史上最も「シュールな号」と言っても良いのでは無いだろうか。ムスメが空のビール瓶を握りしめた瞬間、この号の方向性は決定されたのであります。
僕が読んだ中では唯一の「ライト×シュール」の号。故に、ベタナハナシスキーの私は読むのがとても大変でした(涙)
とにかく、自分の想像力を裏切られたい世界観を知りたい方々にはお勧めの号だと思います。

・ベタでライトの最高峰 3月号

遅読の僕もすらすら読みきった群雛3月号。
カテゴライズは「ベタ×ライト」。1月号と双璧を成すくらいおすすめなのだが、連載初回ものが多いので最終的な評価は保留中。歴史的にも新レギュレーションやNPO法人化発表後初の号なので、非常に意義深いものがありますね。

・群雛ファミリーの裏切り 4月号

1回目よりも2回目に読んだ方が、各作品を面白く感じる4月号。スロースターターという訳ではなく、それぞれの作品に何度読んでも楽しめる「奥行き」がある。
これも「ベタ×ライト」にカテゴライズされるのだが、作家や作品内容の割には「尖っていない」ので非常に中道的な要素もあり。
初参加者が多いのと、常連さんたちが読者の思惑を良い意味で裏切る作品を生み出したのが原因か?
冒頭述べた通り、読みやすいけど繰り返し読んだ方が面白い号なので、初心者向けでもありインディーズ作家マニア向けでもある。うーん、この号は難しいぞ…


作家のポジショニング=群雛のポジショニング?


以上、各号を駆け足に振り返りポジショニングしていったが、如何だろうか?
本来こういう分類は、アンケートなどをとって多くの人の意見を聞き、反映しなければならないものである。一個人の群雛ファン兼インディーズ作家の主観で決めてしまった事については、改めてご了承願いたい。
また、異論反論疑問提示などは大いに受け付けたいところであり、この表も今後一層ブラッシュアップさせていきたいところだ。

今回このような分析を行った結果、私は2つの興味深い事実に気がついた。

①群雛各号のカラーは参加するインディーズ作家のポジショニングと比例する傾向にある
→群雛は早いもの順で参加者は選出されるのだが、それを感じさせないほど似た個性が発揮される号がある。(12月号や2月号はそれが顕著である)
理由は不明(運命に導かれた?)だが、改めて言えるのはポジショニングが似た作家が複数名集えば、号全体のポジショニングもそこに移るということだ。
そういった意味で、今回の分類が読者の好きな作品の傾向と合致し、よりスムーズに群雛&インディーズ作家との出会いにつながれば幸いである。

②今後インディーズ作家が売れる/地位を高める為には、各々のポジショニングを外部にアピールする必要がある
→このような分類考察を重ねるにあたり、群雛は作品を楽しむ雑誌というよりも「インディーズ作家の個性を楽しむ雑誌」だと気が付いた。
かく言う私自身も群雛で作家を知り、次は作家個人の単行本を買うようになってしまった。
自分の作品が載る/読まれる喜びと同じくらい、いやそれ以上に「作家を知る楽しみ」という機能が群雛においては重要なファクターを担っているのではないだろうか。
また、個々のインディーズ作家に求められるのは「こういう情報を発することができます」「こういうジャンルで楽しませることができます」という、自分自身のポジショニングをある程度固めてアピールすることだろう。
作品を読ませる/買わせるテクニックに終始しがちな昨今の動向を見ていると、まずは日々のつぶやきから見直そうという気分になっている。
ポジショニングが強固な作家は、号の方向性を良くも悪くも決めてしまう存在でもある。
参加者の皆様は今後、群雛の方向性を作り出せるくらいの存在になることが求められている。(ついでに僕もそうなりたいでやんす)


てなわけで、まとめ


如何だったでしょうか?
群雛の歴史の一部分ではございますが、振り返ってみると色々な個性が出てくるものですね。

4月号のように、作家と雑誌のポジショニングが合わない号も出てきています。
それはインディーズ作家と群雛の関係性が新たなフェーズに向かっている事を示唆しているのではないでしょうか。
しがないレビューを書く身としても、次なる変化がどういうものなのか、一層頑張って分析していきたいところです。

今回の分析は「純粋な読者」に向けて書いた側面もあります。
そんな方々に伝えたいのは、群雛は長く読み続けることで、更なる面白さや発見を獲得していく雑誌だという事です。
故に、群雛を「1回きりの関係」で終わらせないようにするにはどうしたら良いのか?
私はそれを今後の課題にしながら、色々とサポートしていきたいものですね

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