2015年10月13日火曜日

【ラグビーW杯】日本対アメリカ戦の個人的雑感



3勝1敗でグループリーグ戦敗退。充実感と悔恨が残るゲームは、エディジャパンの集大成として記憶に残る1戦となった。

アメリカ戦も先の3試合と同じく、非常にタフなゲームになった。前半から交互にトライとPGを繰り返し、どちらが主導権を握り続けるか解らない展開が続いた。
アメリカ代表も前日の時点でグループリーグ最下位が決まっていたが、全く消化試合にする気は無かったと言える。
前節の南アフリカ戦は控えメンバー中心で挑んでおり、1勝のターゲットを日本へと置いていた。2チーム制で挑むことに冷ややかな目線も向けられていたが、この試合の出来を見れば「アメリカ代表のモチベーションは2チーム制で下がっている」とか「日本を舐めている」とは言い難い。(やはり合理性を重んじるお国柄ならば2チーム制も適応できるのだろうか?)
この日のアメリカはピック&ゴーが非常に好調だった。敵陣に入るとFWでゴリゴリ攻め、日本のディフェンスがラックに集中するのを見計らって、手薄な場所にボールを展開する。後半31分にワイルズが奪ったトライはその典型だったと言える。もう少しハンドリングエラーが少なければ、この試合はどっちに転んでいたか解らなかったかもしれない。

とは言え、日本代表はとても冷静に試合を進めていた。常にリードを守りきり、悪い時間帯では五郎丸のキックで逃げる。メリハリの利いたゲームメイクはW杯で経験を積むごとに洗練されていたと感じる。
後半31分のトライは崩されたかたちなのでもったいなかったが、この日も沢山の素晴らしいタックルを見せてくれた。特に後半19分にマフィがングウェニアを止めたタックルと、29分に藤田が相手のグラバーキックをインゴールで冷静に処理したシーンは印象に残った。
先日のレビューで「攻守の切り替え時の対応が悪い」という旨を記したが、上記の2プレーはそれに該当しない。特に2年前にルーク・ヒュームにやられっぱなしだった藤田の奮闘は大きく評価を改めたい。2019年を担う選手がプレーで成長を示した事については、去りゆく指揮官も満足している事だろう。

3勝という想定以上の成績を残したのに、グループリーグを去るのは辛いの一言に尽きる。ただ、4試合を通して奪ったボーナスポイントが0、奪われたボーナスポイントが3というところに、現時点での限界が示されているとも感じる。特に、スコットランド戦で最低限のボーナスポイントを得る、あるいは与えない戦いができていれば……というところだろうか。
(南アフリカ戦は勝利の時点でボーナスポイントみたいなところがあるので、流石に文句を言うのは野暮だと思う)

勝ちきる経験を得たという収穫。そして、強い相手に食らいつき、弱い相手を圧倒するには? という課題。まだまだ強くなれる「余白」を残したまま、エディ・ジョーンズ率いるラグビー日本代表は終幕となった

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