2015年10月9日金曜日

【ラグビーW杯】日本対サモア戦のレビュー&アメリカ戦のプレビュー



全てが上手くいった前半と、アクシデントで思い通りにいかなかった後半。対照的な時間を過ごした日本代表だったが、「しっかり勝ちきる」という根幹はぶれなかった。

この試合に関して言えば、サモアの規律不足で大分試合が壊れてしまった感も否めない。前半だけで2回もシンビンを食らう試合というのは、コアなラグビーファンでもなかなかお目にかかれないものだ。(ちなみに、サモアのペナルティ数は19。4分に1回は反則をしていたのである!)
数的優位の状況でスクラムからトライを奪い、前半ロスタイムは山田のスーパープレーでだめ押し。20-0での折り返しに多くのファンは安堵しただろう。
前半で優位に立てた理由の一つに、僕は両サイドを制圧できた事を挙げたいと思う。しっかりとディフェンスラインを敷いてゲインを防いだことで、攻撃を縦から横へ移す。松島、山田が彼らをしっかりマークし、強いタックルでタッチ外へ追い出していった。
サモアにはツイランギ、ナナイウィリアムズといった強力なランナーがいたが、彼らが気持ちよく突破するシーンは皆無だった。両名のMOM級の活躍はもちろん、チーム全体でサモアの強みを出さないようにさせていたのが好印象だった。

しかし、後半16分に山田が負傷退場してからは厳しい展開だった。確かにカウンターからトライを奪われたとは言え、サモアのモチベーションはそれほど高く無かったように見える。しかし、負傷者が相次ぎ上手く選手を配置できない中だと、日本代表の推進力も弱まっているのも顕著だった。
後半19分と30分にPGで追加点を得ようとする安全策は、ボーナスポイントの事を考えると弱気に見えた。個人的にも、どちらか一本はトライを狙っても良かったと考える。しかし、最終的には「しっかり勝ちきる」という部分を尊重したのであれば、あまり文句は言えないだろう。南アフリカ戦も「しっかり勝ちきる」というテーマを元に、最後にスクラムを選んだのだから。






話をアメリカ戦に移したいと思う。勝ち点の関係上、前日のサモア対スコットランド戦の結果次第で、日本代表の予選敗退が決定する。これに関しては日本がどうこうという次元の話ではない。みんなで注目して観ようという事に尽きる。

さて、一方のアメリカ戦であるが7日に行われた南アフリカ戦では大幅にスタメンを入れ替えて挑み、0-62で敗れた。要するに、主力選手は日本戦に残してあるのだ。あまり参考にならない試合である。少なくとも、形振り構わずのアメリカよりも、日本代表の方が精神的には優位であることに変わりない。
先のスコットランド戦でも叫ばれていたが、ラグビーW杯では「中3日」や「中4日」で試合を行うこともある。なので、メンバーを大きく入れ替えたり、15人×2チームをつくって試合をするチームもある。かく言う日本も07年及び11年大会でそれを実施したが、評判は芳しくなかったし、結果も残せなかった。「当たって砕けろ!」の精神が尊重される国家では、あまり用いないことを推奨したい。(あと、個人的には2チーム制は序盤の2試合で使った方が良いと思う。グループリーグの態勢が決まった状況でBチームを使うとモチベーションが下がるのでは?)

話がそれたが、僕がラグビーアメリカ代表で思い出す選手が二人いる。再会を楽しみにしていたのだが、両名とも代表から漏れてしまった。極めて残念である。
一人目はトッド・クレバーというフランカーだ。ラグビーファンならサントリーやNTTコミュニケーションズで活躍したファイターとして認知されている事であろう。長らく主将を務めるほどの人物だったのだが、残念な事にトラブルで監督と対立し、代表から外されてしまった。彼抜きで果たして、3連敗で落ち込むチームを立て直す事ができるのだろうか?

もう一人はルーク・ヒュームというWTBの選手だ。一昨年のパシフィック・ネーションズカップにて、ショートパントで藤田の裏を突きトライをかっさらった選手と言えば思いだして頂けるだろうか?
先のサモア戦でも明らかになったように、やはり攻守の切り替えの部分で日本代表は弱みを見せてしまう。南アフリカやスコットランドは強行突破を繰り返したし、サモアのカウンターも、驚異となったのはトライを決めた1本だけだった。今大会の日本代表は、それほど弱みと対峙する機会が無いのである。
果たして、今のアメリカにルーク・ヒュームが導き出した回答の記憶は残っているのだろうか? また、現在のアメリカ代表にはングウェニアというとんでもないスピード力がある選手もいる。
ひとえに、この試合の見所は「攻守の切り替え」にしたいと考えている。7月の苦杯はもちろん、一昨年の宿題も解決した上で、良いグループリーグ戦の締めとなって欲しいところだ

===============

挑戦者にも喝采を
挑戦者にも喝采を
posted with amazlet at 15.10.09
ワラサンスポーツ出版 (2015-08-06)
売り上げランキング: 92,857

0 件のコメント:

コメントを投稿