2015年11月3日火曜日

【セルフパブリック】群雛文庫と「群雛第2世代」に対する個人的な期待

当方も大変お世話になっている「NPO法人日本独立作家同盟」では、11月5日より『月刊群雛』掲載作から編集長がセレクトした新レーベル「群雛文庫」を創刊し、各種ストアで販売するとのことです。
やだー、もう明後日じゃないですかー! 楽しみですねー! きゃっきゃうふふだねー!

そんな訳で、詳細はこちらよりご確認下さい。

ここからが本題。今回の「群雛文庫」という試みは「月刊群雛」の歴史を踏まえて考えると、とても興味深い事実が生まれています。
それは「群雛で育った(独自の成長を遂げた)インディー作家」が、より洗練されたかたちで市場に出ていくという事です。

まずは第1回のラインアップを改めて確認してみましょう。


・波野發作 『オルガニゼイション』
・ハル吉 『デリヘルDJ五所川原の冒険』
・芦火屋与太郎 『夢を継ぐ』
・平乃ひら 『パレード』 / 神楽坂らせん 『マトリョシカ』
・竹島八百富 『Xメン』 『日本』


波野氏、ハル吉氏、芦火屋氏は連載作品をパッケージ化したものである一方、竹島氏は短編2本。平乃氏と神楽坂氏は「現実と虚構」をテーマにしたSF作品です。

連載作品は三者三様。作品ごとに文体が変わる「オルガニゼイション」、クドカン的なテンポと笑いを届ける「DJゴッシー」、読後にずっしりとしたリアリティが胸に突き刺さる「夢を継ぐ」。どれも「語りだしたら止まらない」連載作品だったと思います。(事実、レビューしててけっこう楽しかった)

ラインアップを見た時の最大のサプライズは平乃氏と神楽坂氏の共演でした。前者は群雛上で、後者は単行本で読みましたがなるほど、この2作は共通したテーマだからこそ、連続して読むと更に味わいが増すな! と思いました。もちろん、二者の作品が群雛上で発表された時期は異なります。
これを敢えて一つにしちゃうところに鷹野采配の妙を感じますし、次の一手を予想するのも楽しみです。

ただ、敢えて予告するなら僕が1冊目として買うのは竹島氏です。作品評は「ニヒルやホラーが嫌いな僕が毎回むさぼるように読んでいる」とだけ記せばいいでしょう(?)
竹島氏を知らないインディー作家も多いと思いますが、絶対に氏のテイストにハマる人間がいると思います。Google+とTwitterで活動領域の違いというだけで氏を知らないとかいうのは勿体なさすぎますと書かせて下さい! 買いましょう…!?


さて、今回のラインアップを見て感じたもう一つ思った事があります。
それは「既存の路線に拘らないインディー作家が集まったな」というものです。そして、これが「群雛第2世代」の特徴だとも思っています。

創刊直後の参加者と現在の参加者のラインアップを比較すると、顔ぶれはもちろん、一番の違いは「キャリアの違い」だと思われます。
ざっくり記すと…

【創刊】セルフパブリッシング(KDP?)で成功した人々が群雛に参加する
【現在】群雛でキャリアを積んだ人々が思い思いのセルフパブリッシングをする

ちょっとざっくりした分類ですが、現在の参加者は群雛で経験と情報を得ることで、自分なりのキャリアを築いている傾向にあります。「とりあえずKDPで小説」という肩書ではない、あるいはその要素が薄まってきているのです。
今回選出された作家さんをKindleストアで検索しても殆ど作品が出てこない(!)のを見ていると、月刊群雛及びセルフパブリッシング界隈で「出版方法の多様性」が萌芽しているんだな、と感じてしまうのです。
こういうバックグラウンドを持つ作家と作品が、群雛の冠を背負って「既に完成されている市場」へ立ち向かっていくのを考えると、やはり無条件でエールを送りたくなってしまうのです。

新たなる作家、作品、キャリアをより表出させてくれる「群雛文庫」への期待は、いち読者としてもどんどん大きくなっているところであります。
クオリティは毎号群雛を読んでいる当方が保証しますので、ぜひあとは皆様の興味がある作品を手を取って頂ければ幸いです

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セルフパブリッシング史をもっと深く勉強したいと思っているので、そろそろこの本を買わねば…

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