2015年11月8日日曜日

【ラグビー】灰色のラストプレー (国学院久我山対東京戦について)



後半30分を過ぎていた。追いかける東京高校の選択肢はモールだった。今日何度も試み、何度も失敗している選択肢。それでも、ピッチ上の15人に迷いは見られなかった。
突如目覚めた相手に対し、気圧される國學院久我山。塊と化したモールに対し、遂に越えてはならない一線を明け渡してしまう。
12対12の同点。東京高校にはゴールキックで、あと2点追加できる権利を有している。




ややバックスタンドより、角度にして45度くらいの位置だった。それなりの難易度はある。でも、あの位置と同じくらい難しいゴールを、キッカーは前半決めている。
スタジアムの緊張感は高まり、わずかなざわつきも静寂の中に組み込まれてしまった。

残念ながら、楕円球はポールとポールの間をくぐり抜けてはいなかった。




大会の規定上、この試合は「引き分け」であり「優勝」という栄誉は両校に等しく与えられる。
しかし、一番欲しい「花園への出場権」は1つの高校にしか与えられない。選択方法は両校主将の「抽選」によって決定される。

非常に残酷だ。無理をしてでも延長戦を採用すれば良いのではないか。海外では「ペナルティ・ゴール戦」というルールを採用している大会もある。そっちの方が、まだ運よりも実力を反映する事ができるのではないか。
勝敗は常に、明確であって欲しいものなのだが…。

両チームは表彰式を終えると、そそくさと控え室へと戻っていった。
その後の抽選結果を、僕は知っている。でも、彼らにその結果が伝えられたとき、それぞれどのような表情をしていたかについては、知る由も無い

===============

挑戦者にも喝采を
挑戦者にも喝采を
posted with amazlet at 15.11.08
ワラサンスポーツ出版 (2015-08-06)


昨年の国学院久我山対成城は上記拙著にも収録しております。そう言えば、あれもラストプレーで明暗が分かれましたねえ…

0 件のコメント:

コメントを投稿