2016年2月27日土曜日

【ラグビー】成長の途上 ~スーパーラグビー開幕戦 サンウルブス対ライオンズ個人的雑感~



やはり成熟度の部分で大きな差が出てしまった感は否めない。しかし、向上心のある奮闘ぶりに、今後への期待値も抱かせてくれる開幕戦となった。

南半球の強豪プロチームが集うラグビーリーグ戦、スーパーラグビー。日本から参戦するサンウルブスは開幕戦で南アフリカの成長株、ライオンズと対戦。攻撃の精度不足に泣かされ13-26で敗れたものの、ディフェンスを中心に健闘するシーンも数多くあった。

厳しい試合展開も予想されたが、予想以上の奮闘をサンウルブスは見せる。低いディフェンスで出足を挫き、相手攻撃のテンポを殺すことに成功。特にエドワード・カークの運動量とボール奪取能力は非凡なものがあった。日本人に好まれるタイプの外国人選手ではないだろうか。

しかし、攻撃は終始停滞してしまった。ライオンズのディフェンスもしっかり整備されており、サンウルブスはなかなかゲインすることができない。ピシとセンターのパスワークも、山田と笹倉のランにもしっかり対応していた。土台が出来ているチームと、一夜城な急造チームとの差がここで出てしまった感は否めない。バックスに一人は「パワー」で対応できる選手が欲しいとも感じてしまった。




このように課題も沢山あるのだが、終わったあとの後味の良さも残る試合でもあった。その理由はひとえに「チームが成長している瞬間を見られた」からである。

最も実感したのが後半7分のスクラムだろう。ペナルティを繰り返し、ゴール真正面のイヤな位置で相手が選択したのはスクラム。前半はコテンパンにやられていた。
観客席から悲壮感たっぷりの歓声と手拍子が轟く中、ここでフォワード陣は奮起した。何度も組み直した末にたどり着いた、低い姿勢から相手にじわじわ圧力をかけるスクラム。見違える出来に驚いたのは、ファンも相手も同じだろう。
失敗すればゲームが一気に壊れる可能性もあった。それだけに、このスクラムで相手にペナルティを与え、ピンチを脱出できたのは大きい。そして、今後の戦い方においても非常に強い意味を有している。

サンウルブスは準備期間も短く、まだ開幕の段階では「未完成」の状態だ。本来であれば開幕前に「完成」の状態に一旦持って行って、リーグ戦での破壊や再生を経ながら、さらなる強固な完成形を目指す。そんな強化のセオリーから外れているというのは、非常に由々しき問題である。
だが、時は戻らない。サンウルブスは本番の試合を経ながら「完成」を目指さなければならない。試合は「完成形のお披露目会」ではなく、「完成を目指す成長の場」なのだ。

「未完成」であるが故に、弱さは素直に受け入れなければならない。しかし、未完成なものが完成に近づく様子を本番で見られるというのは、非常に面白い。

あの意地の一押しには、我々が愚直な狼軍団を追うべき理由が含まれていると感じたのだった

【SCORE】
<開催日> 2016年2月21日 13時15分キックオフ
<競技場> 秩父宮ラグビー場
<試合結果> ヒトコム・サンウルブス 13(1T 1G 2PG)-26(4T3G) ライオンズ


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