私事で恐縮だが、本職(サラリーマン業のほう)の勤務地は海老名市だったりする。故に、仕事で海老名から東京に向かう際は小田急線を用いなければならない。
大和駅を通過し、しばらくすると思わぬ光景が目に入ってくる。線路からわずか十数メートル先にそれは存在していた。住宅街の真ん中に鎮座する、不思議な空間。初めて見たときは「えっ? こんなところに?」と驚いたものだった。
それは小さな陸上競技場だった。しっかりとしたメインスタンドに、緑色が輝くピッチ。小さいけれど、フットボールを充分受け入れてくれるサイズだ。
そう言えば、この街は女子サッカーで有名だと聞いたことがある。では、どのようなチームが用いているのだろうか…?
女子サッカーの3部リーグに相当する「なでしこチャレンジリーグ」は今日が開幕戦。
「大和なでしこスタジアム」を本拠地とする大和シルフィードは、ノルディーア北海道を相手に迎えていた。
大和シルフィードは1998年に創立された女子サッカークラブ。女子中学生のクラブチームとして活動し、かつては川澄奈穂美や上尾野辺めぐみも在籍していた。トップチームの強化に乗り出したのは最近のことだが、昨年チャレンジリーグに昇格し、なでしこリーグに向けて順調に強化している。今年は12名の新戦力を加え、強化に力を入れている。
そんな開幕戦は大和の本気度が如実に現れた展開となった。前半8分に阿部の強烈なフリーキックで先制すると、そこから怒濤の得点ラッシュ。特に阿部のクロスから山崎が頭でドンピシャで決めた4点目はゴラッソだった。対する北海道は守備陣に散漫なプレーが目立ち、勿体ない失点ばかり。前半は4-0と大和の大量リードで折り返す。
後半は北海道が守備を立て直し、ショートカウンターで幾つかチャンスをつくる。裏への飛び出しが奏功し、星山が一矢報いるも反撃はここまで。後半16分から投入され、懸命なチェイスを繰り返していた米田がだめ押しのゴールを挙げて勝負あり。5-1で大和シルフィードが昇格への幸スタートを切った。
試合後は勝利のラインダンス
この日の観客動員数は721人。いわゆるサポーターはもちろん、ご近所に住んでいる方々も多く訪れている印象を抱いた。「なでしこ旋風」の追い風があったのも事実だが、大和市には女子サッカーを支える土台がしっかり築かれていることも実感できた。
何より、観客席で選手たちを見つめる視線は、初めて訪ねた僕でも「暖かい」と感じることができた。幼い子供が徐々に独り立ちしていく様子を見守りたい。そんな気持が込められているのかもしれない。
「ブームから文化へ」は耳が痛くなるほど何度も聞いてきたが、それはどのようなかたちで実現していくかは、まだ誰も見ていない。でも、大和シルフィードならば…。それを目の当たりにする日が来るのも、案外遠くないのではないだろうか
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